うちの車高調

2001.12.06

 うちのクルマのサスペンションは、まず2000年の7月に一度交換しました。これは、あまりに柔らかくて踏ん張りの効かない足に嫌気が差したことが原因でした。その頃も色々悩んだのですが、お金がなかったこと、あまりローダウンに興味がなかったこと、そしてなによりホイールが純正のままだったことから、「純正形状」「少しだけローダウン」を目的として下記の足回りを選択したのでした。

・TOKIKO HTSダンパー & RS★R Ti2000

 この組み合わせにしたのは、純正形状・少しだけローダウン(3cm前後)という条件を満たし、工賃込みで10万円以下と安く、しかも減衰力調整が可能だったから。その時点ではベストの選択だったと思います。
 HTSダンパーは、純正形状ながらアッパーマウント側で減衰力が無段階で任意に調節でき、純正レベルから非常に硬い足まで自由に設定することができました。またスプリングは、取り付けてから半年以上経ってもまったくへたらず、常に良い状態が保たれていました。この足回りのお陰で、高速道路での走行もワインディングも非常に快適となり、スポーツ走行の楽しみをわずかながら味わうことができたと思います。その後、2000年の12月に17インチホイールを導入しましたが、マッチングも良く、後に車高調を導入するまで問題ひとつ生じませんでした。

 2001年夏過ぎ頃から、徐々に走りに気合いが入り始め、それと同時にタイヤの片減りに悩まされるようになりました。キャンバー調節のできないHTSダンパーではタイヤの偏摩耗を抑えることができず、この時点で車高調の導入を考え始めたのですが、製品の選択には非常に苦労することになりました。

 車高調の条件としては、Sタイヤにも対応する減衰力と減衰力調節機構を持ち、工賃込みで25万円以下(可能なら20万円以下)を考えていました。
 最初に候補に上がったのは、TEIN、CUSCO、HKS、GAB、ZEALなど有名メーカーの製品です。どこの製品も一長一短らしく、人によって勧める製品もまちまち。製品の数が多すぎて、全体像を把握している人さえいないような状態でした。

 身近なところでは、ショップの店員さんにはサーキット走行性能の点でZEALのFUNCTIONシリーズを、ある同僚には乗り心地の点でCUSCOのCOMPシリーズを、他の同僚にはGABのSTROKEシリーズをぞれぞれ勧められました。また自分の調べた範囲では、HKSのHIPERMAX PROやAPEXiのN1がなかなか良さそうに思えました。しかし、複数の製品をラインアップしているメーカーでは、最高レベルで30万円程度と値が張るし、一般用にデチューンされたものですら20数万円位します。一度交換するとなかなか付け替えられないものでもあり、なかなか踏ん切りがつきませんでした。

 値段だけで考えるならJICは15万円前後とかなり安いのですが、「抜けやすい」「乗り心地が悪い」「サーキットでは使えない」と散々な評価をする人が多く、選択する気にはなれませんでした。値段と性能を両立させるなら、ZEALのFUNCTION B6、HKSのHIPERMAX PROがいずれも本体価格で22万円前後、スプリングのバネレートも変更できるということで候補に上がっていましたし、この辺りで決定しようかと考えていました。実際、姫路のショップではHIPERMAX PROの見積もりを、近所のショップではFUNCTIONの見積もりをそれぞれ出してもらっていたのです。

 ところが、これらの候補を蹴散らしてしまうような車高調が見つかりました。

・SECTION Spec-RM/A8

 なんと、定価が13.8万円という超低価格。それでいて減衰力8段階調節、ブラケット式車高調節機能、フロント倒立式、単筒式という現時点でほぼフルスペックと言っていい高機能。これを見つけたときは、思わず「嘘だろ?」と呟いてしまいました。もちろん、純粋にダンパーの機能を比較すれば他のメーカー品に劣る可能性は十分ありますが、調べてみるとシルクロード(SECTIONブランド)は複数のショップに車高調キットをOEM供給していたり、他にもクルマに関する製品を多数製造していたりしてそれなりに信頼できそうな印象でした。ただ、製品に関する情報がほとんどなく、シルビアのオーナーズクラブで質問しても全く返事のない状態なのが気になりました。

 しかし、色々調べているうちに、たまたまネット上でS14にこの製品を使っている人が見つかりました。その人によると、サーキット走行はまだだが、少なくとも峠レベルでは全く問題ない、とのこと。街乗りの乗り心地もそこまで悪くないし、非常にいい印象だと。これはかなり重要な情報でした。また、実際にメーカーに電話して色々話を聞いてみましたが、こちらの尋ねたことについてきちんと答えてくれる姿勢も好印象。製品そのものの印象は非常に良くなりました。

 考えてみれば、足回りは車高調だけで終わるわけではありません。むしろ今後のことを考えれば、アーム類も変更しておいた方がいいでしょう。それなら今回は、高性能ではないにせよ十分に高機能で安価なSECTION製品を車高調に選択し、アーム類を同時に交換したほうが良いのかも知れません。高価なショックは、SECTIONのダンパーが抜けてからでも遅くはないかも…

 結局、足回りは下記のように変更することになりました。施工日は10月23日です。

・Section SPEC-RM/A8
 フロント10kg/mm, リア7kg/mmに設定(デフォルトで8kg/mm, 7kg/mm)
・CUSCO トーコントロールロッド
・CUSCO リアアッパーアーム
・URAS パイナップル

 これに、工賃・アラインメント調整込みで24.8万円也。ちゃんと予算内に収まりました。実際に乗ってみると、非常に乗りやすく、それでいて高いコントロール性に驚いたのを覚えています。

 以下に、当時の日記を抜粋しておきます。


--2001年10月23日の日記から--
ということで、とりあえずちょっとだけ(峠を)走ってみる。
…あれ、出だしから全然硬くないぞ??
走り出してすぐに分かったけど、前後の荷重変動が少なくなった。
ブレーキ操作に対して、非常にシャープな反応が返ってくる。
でも、硬さよりダンパーのしなやかさが伝わってくる感じだ。
乗り心地は良好。若干突き上げ感はあるが、それほど不快ではない。
ちょっと速めに走ると、路面のちょっとした凹凸は全く気にならないレベルになる。
すごいね。これはちょっと感動的だ。
今までは純正形状でもそれなりに使える足だと思っていたけど、今度の足は比較にならないくらいレベルが高い。
限界走行はしていないけど、軽く流した程度の走り方でも今までとは全く次元の違うコントロール性。
ハンドリングもブレーキングも非常に直接的になり、地に足がついた感覚になった。

よかった、今回はほんとに良い買い物だったよ。

問題点としては、突き上げ感のほか、デフからの振動が伝わりやすくなったことがある。
でもまあ、今までより特にうるさくなった感じはしない。
これなら十分街乗りに使えるレベルだね。
 実際、その後サーキットを走っても特に問題なく、値段を考えれば非常にレベルの高い車高調であることが分かりました。減衰力を最強にしなくても、Sタイヤでそれなりに走れます。厳密にタイムを詰めるような使い方には向かないかも知れませんが、街乗りとサーキット走行を両立する一般用ダンパーとしては文句の付けようがないレベルだと思います。

 製品そのものの欠点としては、ダンパーが抜けたらダンパーユニットごと交換になるところでしょうか。ユニットひとつで2.5万円もするため、4本同時に換えたら新品が買えそうな値段になってしまいます。でも、オーバーホールのためにダンパーを外して本社に送る必要がなく、近所のショップで取り換えできるのが良いですね。姫路のショップの人も言っていましたが、ほとんどのユーザがオーバーホールより新品の購入を選択するそうです。オーバーホールにユーザ自身の手間がかかりすぎるからでしょうね。それを考えれば、決してユニット交換も悪い選択ではないと思います… ちょっと高いですが。

 結局のところ、少なくとも現時点でこの車高調には非常に満足しています。値段にふさわしくない高機能と高性能。文句の付けようのないコストパフォーマンスですね。このような製品を発売しているシルクロードに感謝したいと思います。

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