AppleScriptについて


概要

 AppleScriptは、漢字TALK7.5以降に標準で添付されるようになったスクリプト環境です。それまでMacintoshが苦手としていたバッチ処理などの動作を容易に実現することができます。

 例えばこんな経験はないでしょうか。


 専門的なところでは、


 などなど…

 これらは手間暇かかる割にクリエイティブでもなんでもない、ただの単純作業です。これを自動的にやってくれるソフトがあれば、いったいどれくらい作業が楽になることか。

 こういったことを実現するのに、以前なら誰かがフリーソフト等を作ってくれるまで待たなければなりませんでした。しかしどんな作業にも対応できるものなどありませんし、誰かが作ってくれるとも限りません。たとえ自分のしたい作業ができるソフトがあるにしても、やたらと高価だったり機能が多すぎたり英語版だったり (^ ^;) そのソフトを使いこなすのに時間がとられて「結局自分で作業した方がはやかった」なんてこともよくあることです。

 しかしAppleScriptを使えば、もう他人をあてにしなくてもいいのです。複雑でメモリを沢山必要とするようなアプリケーションを四苦八苦して使う必要もありません。自分が必要とする機能だけを持った、シンプルで安価で、いくらでも自分の好きなように改良や改造を加えることのできるユーティリティーを自分自身で作り出すことができます。

 もちろん、AppleScriptのスクリプティングを習得する必要はあります。でも、スクリプトは思ったより難しくないですし、いったん覚えてしまえばいくらでも応用が利きます。Excelやファイルメーカー、PageMaker等の内蔵スクリプトは、そのアプリケーション以外の役には立たないのが普通です。でもAppleScriptなら複数のアプリケーションにまたがって利用することが可能なのです。

 AppleScriptを使うことで、あなたのMacはもっと快適になります! ぜひAppleScriptの世界に触れてみて下さい。

  --- Karino


AppleScriptの技術背景
Apple Event & OSA

 Apple Eventとは、複数のアプリケーション間で命令やデータをやりとりするための技術です。採用されたのはSystem 7(漢字TALK7)から。この技術によって、複数のアプリケーションを連携させた業務の処理が容易に実現できるようになりました。

 アプリケーションはApple Eventを利用して、他のアプリケーションに命令を出したり、データを受け渡したり、そのアプリケーションが持つ各種のデータを要求することができます。この機能によって、アプリケーションは自分自身で行うことのできない処理を他のアプリケーションに依託し、その結果を得ることができるようになりました。

 例えば、一般的なワープロソフトはスペルチェックの他たくさんの機能を持っていますが、多機能になればなるほどアプリケーションは大きく、遅くなっていきます。しかしスペルチェック専用のアプリケーションを作成し、ワープロからはその機能を利用するだけにすればどうでしょう。その機能の分だけワープロは小さくなりますし、使わないときにはスペルチェック用のソフトは起動しなくてもいいはずです。

 また、表計算ソフトでグラフを作成する場合を考えてみて下さい。普通、表計算ソフトはグラフ作成の機能を持っていますが、それはグラフ作成専用のアプリケーションに比べて貧弱です。しかし表計算ソフトのデータをグラフ作成用のソフトに移し、グラフを作るのは面倒ですよね。ましてやそのデータが日夜更新されるようなものの場合、グラフ作成のたびにデータを移し変えるのは苦痛以外の何者でもありません。だから多少機能が貧弱なのを我慢しても、表計算ソフトに付属するグラフ機能を使用することになるわけです。

 しかし、データのやりとりを自由にできるなら、アプリケーションは固有の機能以外なにも持たなくてすみます。表計算ソフトは表計算機能、グラフ作成ソフトはグラフ作成機能があればいい。後はデータの仲介をしてくれるものがあればいいのです。そしてその仲介役が、Apple Eventなのです。

 Apple Eventは、命令(イベント)の宛先となるアプリケーション、実行される命令、添付されるデータの3つから構成されています。また、Apple Eventは4つのカテゴリーに分類されています。(Required/Core/Functional-area/Customの4種類)これ以上細かいことは省略しますので、より詳しい内容を求める人はInside Macintoshか、Macintoshプログラミングに関する書籍を参考にして下さい。


 OSAとは、Open Scripting Architectureの略で、AppleEventを使ったスクリプト言語を開発する際に必要となるプログラミングフレームワークを指します。AppleScriptは、このOSAに準拠したスクリプト言語の一例です。現在では「UserTalk」(UserLand Frontierのスクリプト言語)とAppleScriptの2つがOSAに準拠していますが、今後さらに増える可能性もあります。


 以上がAppleScriptの背景となる技術です。非常に簡単にまとめたためそれほど情報量は多くありませんが、多少なりとAppleScriptを理解する手がかりとなれば幸いです。


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